前回は軽く自己紹介をさせて頂きましたが、今回は「なぜ、不動産屋を開業するのか?」についてお伝えできたらと思います。
結論を先にお伝えすると、下記の3つが大きな理由です。
不動産屋を開業する3つの理由
- 1.移住したくても、移住できない!?
- 2.伊根に移住者を増やしたい!
- 3.伊根に多様性を持たせたい!
この3つをご覧頂けると、おおよそ分かると思いますが、私自身が伊根町に移住したくても、空き家がない!不動産屋もない!という事で、とても苦労した経験があります。そのため、自らが不動産屋を開業すれば、伊根町内の空き家を有効活用して、移住者をもっと増やすことができるのではないか?と考えたのが、大きな理由です。
1.移住したくても、移住できない!?
2017年に伊根に家族で移住してきたのですが、そもそも、初めに移住しようと思って物件を探し始めたのが2014年のことでした。しかし、後述しますが、伊根町にはそもそも「不動産屋」が存在せず、物件情報は伊根町が運営している「空き家バンク」の一択のみ。そして、その「空き家バンク」に登録されている物件数も、せいぜい多い時で10件前後。2014年に移住の検討を開始するも、舟屋群で有名な伊根浦地区には、移住できそうな物件は1件もなく、移住したいのに、移住できない!というもどかしい状態でした。そのため、一度は伊根への移住を諦め、京丹後市へと移住検討範囲を広げ始めていました。そんな折、幸運にも子供を授かったり、会社で大きなプロジェクトを任されたりと、いろいろな要因が重なったため、一度落ち着くまでは、、、と、移住をいったん保留することにしました。
そして、およそ2年後の2016年のクリスマスの日。会社での大きな仕事も終盤に差し掛かり、長女も1歳になろうかというタイミングで、久しぶりに伊根町の「空き家バンク」を覗いてみたら、伊根浦地区に小さな古民家が一軒出ていたのです!そして、すぐさま翌日に伊根町の担当者に連絡して、年明けのアポイントを取付け、2017年1月には、家主さんと物件購入について合意、2018年2月には会社に半年後ぐらいに退社&移住をすることを伝えていました。希望の物件を見付けてからは、かなり急ピッチで、物事が進んでいきました。まさに、私達にとってみれば、人生を大きく変える事になる、クリスマスプレゼントだったのです。その物件が、また、いずれご紹介させていただきますが、現在の「CAFE&BB guri」の元々の物件だったのです。
※ただし、その物件は、事業に適した物件だったため、住む場所は、その家主さんのご実家が近くにあって、ほぼ「空き家」状態となっていたため、そちらをお借りすることになります。
A.伊根には空き家がない!?
2022年7月5日現在、伊根町空き家バンクには、6件の空き家情報しかありません。平成25年(2013年)に行われた伊根町の調査によると、住宅数はおよそ1860軒ほどあり、そのうち195件が空き家だったようで、空き家率はおよそ10.5%ほど。ただし、ほぼ10年前のデータなので、現在はさらに空き家が増えていることが予想されます。(2013年の人口は2200人程度でしたが、2022年は2000人を割込みました)
つまり、空き家はある(現在は200件以上あると推測される)のに、流通している空き家がない(空き家バンクの登録数は6件程度)のです。
あとは、伊根町が提供する町営住宅があるのですが、ほぼ満室状態が続いています。2021年12月時点では、全ての町営住宅をあわせて63戸あるうち、空きがあるのは最も山奥の町営住宅の5戸のみで、その稼働率は92.1%ととても高く、人気の伊根浦エリアの町営住宅などは、いつも満室が続いています。
つまり、伊根町には、流通している空き家もなく、町営住宅もほぼ満室状態で、移住者のみならず、伊根町民の住み替え需要などにさえ、全く対応できていないという現状なのです。
B.伊根には不動産屋がない!?
そして、当然といえば当然なのかもしれませんが、町が小さすぎる故、不動産屋がありません。そして、近隣の宮津市、与謝野町、京丹後市には、不動産屋があるのですが、伊根町の物件の取り扱いは、皆無に等しい状況です。故に、伊根に移住したくても、相談できる窓口は、上記の空き家バンク窓口(伊根町企画観光課)ぐらいしかなく、一般の移住希望者にとっては、とてつもなく間口が狭いのです。
それでも、時々は、舟屋などの古民家を改装して、新しい宿泊施設や飲食店舗が開業したりすることもあるのですが、それらの物件は、地元の企業が知合いを経由して直接売買しているケースや、祖父母の不動産を孫が引き継ぐパターンのいずれかがほとんどです。つまり、伊根町内の地縁や親族などでの取引ぐらいしかなく、一般に流通するのは、非常に稀なケースと言えます。
2.伊根に移住者を増やしたい!
2018年以降のの伊根町への移住者は、5人/2018年、13人/2019年、2人/2020年、6人/2021年(伊根町企画観光課調べ)となっています。自分達が移住した2017年度には、僕たち家族3人も含めた移住者が約20人強いましたが、その翌年以降は平均で6名程度という状態が続いています。幸いにも、自分たちが移住した時の伊根町の移住担当者がとても熱心な方だったので、移住者間や、地域の方々と繋げてくれるような飲み会を積極的に開催してくれたり、地域の漁師さんや、農家さんなども積極的に繋げてくれて、とても感謝しています。しかし、その後、そのやる気のあった移住担当者の方が、民間企業へと転職してしまったことで、移住者間の出会いや交流の機会なども随分と減ってしまいました。(「それ以降の伊根町の移住担当者がやる気がない!」と言いたい訳では決してなく、その方が異常なまでに情熱を持っていらっしゃったという事です。)
伊根は人口が減少しているので、それに歯止めを掛けたい!という思いも当然にありますが、それ以上に、新たに地方に飛び込んで、新しい生活にチャレンジしてみたい!という、仲間が増えて欲しいなという想いがあります。
と、言いますのも、やはり人口も2000人未満の町となると、どうしても人間関係が「濃厚」になります。特に、伝統的な舟屋という建造物群や、漁師町ということもあり、「伝統的」であり「保守的」だなあと感じることも多いです。それが、もちろん、伊根町の魅力であることは間違いのないのですが、それと同時に、未来に向けて「革新的」であり「前衛的」な、取り組みがないと、町はどうしても衰退していってしまうように感じます。
その様な意味において、もちろん、革新的な取り組みにチャレンジする伊根町民も多くいらっしゃるのですが、自分たちと似たような価値観の移住者が増えることによって、伊根町の未来が、もっと自由で明るい雰囲気になるのではないかと思うのです。
伊根町で、5年毎に策定される「総合計画」においては、「移住者を5年間で24人増やす」という計画になっており、先述させて頂いた年平均5人を既に達成していますので、特にそこまで努力せずとも、これまで通りで、目標到達となるでしょう。しかし、それではこれまでと全く一緒ですし、変革の速度も一向にあがりません。
そのため、ぐり不動産では、
「移住者を10年間で200人増やす」(伊根町の計画目標の約4倍)
を、KPI(数値目標)にして、頑張っていきたいと考えています。
3.伊根に多様性を持たせたい!
最後の理由は、②の理由とも少し重複しますが、新しい事業やサービスという点において「多様性」がある町になったら良いなと考えています。別に都心と同じ様な、24時間営業のコンビニや、アパレルショップや、美術館やコンサートホールが欲しいという訳では無いのですが、ご飯を食べるにも、買い物をするにも、文化に触れるにも、選択肢が少なすぎるという悲しさがあります。
もちろん、インターネットが発達したことで、おおよその買い物ができたり、音楽が聞けたり、本を読むことも、とても容易になったのですが、安くて気軽に集える居酒屋さん、パン屋さん、お弁当屋さんなどなど、小さくてもいいから、この町にフィットした素敵なお店が、もっともっとあったらいいなあ。とつくづく思います。
ただし、そのような商売が成り立ちそうな立地には、そもそも事業用の物件もありません。移住者や定住者のための住むための場所のみならず、小さな商いができるような、事業用の場所も、不動産屋ができれば、もっともっと増やすことができるのではないか?と思います。
まとめ
私が伊根町に不動産屋を開業する3つの理由は、この3つ。
不動産屋を開業する3つの理由
- 1.移住したくても、移住できない!?
- 2.伊根に移住者を増やしたい!
- 3.伊根に多様性を持たせたい!
とにかく、新しい人や、新しい事業が伊根町内に増えていくためには、どうしても物理的な場所が必要になります。より開かれた場所、そして、開かれた未来を創造していくためには、伊根町内の不動産の流通を促進させることは、必要不可欠であると考えたからです。
しかし、理想と現実は、そう簡単には一致しないことと思いますし、開業したら、大きな壁に何度もぶつかることでしょう。でも、成功への最短距離は「最速で失敗を繰り返すこと」であると信じて、失敗を恐れず(致命傷を追わない程度の失敗に留まる様に)に、頑張って行きたいと思いますので、応援のほど、よろしくお願いいたいます。
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